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重婚的内縁関係に係る内縁の妻の遺族年金の請求が認められた事例2

平成22年(厚)第775号

【主文】
厚生労働大臣が、平成○年○月○日付で、再審査請求人に対し、遺族厚生年金を支給しないとした処分は、これを取り消す。

A:夫
利害関係人:戸籍上の妻
請求人:内縁の妻

以上に基づいて、本件の問題点について検討し、判断する。

(1) 亡Aと利害関係人との婚姻関係が形骸化し、かつ、その状態が固定化していたかどうかであるが、次のような事情を総合勘案するならば、両名の婚姻関係は、亡A死亡の当時において、形骸化し、かつ、その状態が固定化していたものと認定するのが相当である。

ア 亡Aは、昭和○年○月ころから利害関係人と疎遠になり、遅くとも平成○年ころには音信もほとんどないような完全別居状態となり、以後、平成○年○月○日に亡Aが死亡するまでの○○年間以上の長期間にわたり、別居を継続した。亡Aと利害関係人との別居期間中、亡Aと利害関係人が別居解消に向けての前向きな話合いをした等の形跡は明確ではなく、両名の婚姻共同体を維持しようとする積極的な意思があったことを推測させるものもないというべきである。

イ 利害関係人は、亡Aとの別居後も、平成○年ころまでは生活費の援助があったと主張しているが、それは3月か4月に1回の頻度で、金額も○万円ないし○○万円程度とみられ、月額に換算すると○万円から○万円程度のものにすぎないから、生活費としては不十分であったといわざるを得ず、しかも、平成○年ころからはそれすらも途絶えてしまったのであるから、亡Aと利害関係人との別居期間中、両名が生計を同じくしていたと認めることは困難である。

ウ 利害関係人は、亡Aと離婚の合意はしていないと主張し、請求人もその点は否定していないものと思料されるが、本件手続の全趣旨を総合すれば、亡Aと利害関係人の婚姻関係は形式的には維持されていたが、実質的には既に破綻し、その状態が長期間にわたって固定化していたものと認められる。

また、亡Aと利害関係人との間の音信の点も、その具体的頻度・内容は本件資料上明らかでないし、仮にある程度のものがあったとしても、上記の認定・判断を動かすには至らないとみるのが相当である。

(2)  請求人が亡Aによって生計を維持していた配偶者であったかどうかであるが、次のような事情並びに前記のような請求人、利害関係人及びBがそれぞれに述べている内容を総合勘案するならば、亡A死亡の当時において、請求人は亡Aによって生計を維持していた配偶者であったと認定するのが相当である。

ア 昭和○年に亡Aと利害関係人の間にDが出生し、遅くとも平成○○年ころから請求人は亡Aと同居し、亡Aの死亡までの○○年間以上の長期間にわたり、事実上の婚姻関係が継続されてきたことは、前記1ないし4及び本件手続の全趣旨から明らかである。

イ 前記1の(2) に記載したように、請求人の平成○年中の総所得金額は○○万○○○○円であり、死亡した者によって生計を維持していた配偶者かどうかを認定する際の所得基準を満たしていた。

(3)  以上によれば、厚生労働大臣が、請求人に対し、亡Aの死亡に係る遺族厚生年金を支給しないとした原処分は不当であり、取消しを免れない。

以上の理由によって、主文のとおり裁決する。

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