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<重婚的内縁関係>内縁の妻の遺族厚生年金の受給が認められた事例

公開日: 2019年12月 6日 更新日:2020年4月 8日

【社会保険審査会裁決事例】※当センターがサポートした案件ではありません。

平成25年(厚)第910号 平成26年4月28日裁決

主文 厚生労働大臣が、平成〇年〇月〇日付で再審査請求人(以下「請求人」という。)に対してした、厚生年金保険法(以下「厚年法」という。)の規定による遺族厚生年金を支給しない旨の処分を取り消す。


事案概要


亡Aには、死亡時において、戸籍上の届出のある妻Bがいた。Aが死亡したため、請求人は、内縁の妻であるとして遺族厚生年金を請求したところ、「厚生年金保険法第59条第1項に規定する遺族厚生年金を受けることができる「配偶者」とは認められないため(戸籍上の妻との婚姻関係は形骸化しているとはいえないため)」という理由で不支給になった処分を不服として、社会保険審査会に対して再審査請求をした事案。

重婚的内縁関係のケースになります。

争点


まず、亡Aの死亡当時、亡Aと戸籍上の妻であるBとの婚姻関係がその実体を全く失ったものとなっていたといえるか、否かということであり、これが肯定的に認められた場合に初めて、請求人と亡Aが生計維持関係にあったかどうかという点が問題となる。


結論


請求人は、亡Aの死亡当時同人と婚姻関係と同様の事情にあった者であり、かつ、同人によって生計を維持していたものであるから、同人の死亡による遺族厚生年金の受給権を有することになる。よって、請求人に対し遺族厚生年金を支給しないとした原処分は妥当ではなく、これを取り消すべきである。


 本案件のポイント


本案件のように重婚的内縁関係で、「届出による婚姻関係がその実体を全く失ったものとなっているとき」とは、下記のいずれかに該当する場合となります。

 
ア 当事者が離婚の合意に基づいて夫婦としての共同生活を廃止していると認められるが戸籍上離婚の届出をしていないとき
 
イ 一方の悪意の遺棄によって夫婦としての共同生活が行われていない場合であって、その状態が長期間(おおむね10年程度以上)継続し、当事者双方の生活関係がそのまま固定していると認められるとき


そして、上記の「夫婦としての共同生活の状態になり」というためには、下記のアからウの要件を全て満たす必要があります。
 

ア 当事者が住居を異にすること。
 
イ 当事者間に経済的な依存関係が反復して存在していないこと。
 
ウ 当事者間の意思の疎通をあらわす音信又は訪問等の事実が反復して存在していないこと。


本案件については、以下のことがポイントとなりました。

亡Aと内縁の妻との同居期間は30年を超えていた
・亡Aと本妻のBは別居期間中、Bが亡Aの通帳を持ち、最初の頃は生活費が振り込まれ、後には亡Aの年金が振り込まれたため、それを生活費として使っていたが、平成〇年〇月〇日に通帳は亡Aに返却され、その後、亡AからBへの経済的援助は全くない。
・亡Aは、最初の〇年ほどは、毎土日にBの元へ帰宅していたが、平成〇年以降は、月に2ないし3回電話をするだけとなり、Bが亡Aのもとを訪問していたという資料も見当たらない。
・亡Aは、息子の結婚式にも出席しないなど家族との接触を断ち、昭和〇年ころ、亡Aが糖尿病にかかったとき、及び平成〇年に脳梗塞を患ったとき、看病・介護したのは請求人であった。

以上のことから、「亡AとBとの婚姻関係はすでに実体を失って形骸化していた」と判断されました。

本案件のように、重婚的内縁関係において、内縁の妻が遺族年金の請求するにあたっては、

自分は、内縁関係で生計を共にしていたという主張も重要ですが、受給が認められる前提として戸籍上の妻との婚姻関係は形骸化していたという状況が必要となります。

何か、婚姻関係が形骸化していることについて証明できる資料があるのであれば、それも併せて提出した方が良いでしょう。


【社会保険審査会裁決より抜粋】

 これらを総合して見るに、本件は「悪意の遺棄」とまでは言い難いところもあるが、亡AがBと別居し、請求人と同居していた期間は30年を超え、その間の亡AとBの積極的な交流も窺えず、夫婦としての共同生活が行われていない状態があまりに長期間固定しており、将来の修復を予測することは困難であるから、亡AとBとの婚姻関係はすでに実体を失って形骸化していたと認めるのが相当である。

 


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