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HOME > 事例集 > 社会保険審査会事例 > 離婚した元夫の遺族年金請求が認められなかった裁決例(平成24年(厚)第1026号)
事例集
離婚した元夫の遺族年金請求が認められなかった裁決例(平成24年(厚)第1026号)
公開日: 2023年12月 8日 更新日:2023年12月 8日
【社会保険審査会裁決事例】※当センターがサポートした案件ではありません。
平成24年(厚)第1026号 平成25年4月26日裁決
主文 本件再審査請求を棄却する。
事案概要
請求人は、厚生年金保険法の規定による老齢厚生年金の受給権者であったAが平成〇年〇月〇日に死亡したので、平成〇年〇月〇日(受付)、厚生労働大臣に対し、Aの事実上の夫であるとして、厚年法の規定による遺族厚生年金の裁定を請求した。
争点
請求人が亡Aの死亡当時、亡Aにとって生計を維持した配偶者(事実婚関係にある者)と認めることができるか。
結論
Aと請求人との関係をもって、いわゆる内縁関係とみることはできないのであって、請求人がAと婚姻はしていないが 事実上婚姻関係と同様の事情にある者に当たるとはいえず、また、請求人がAによって生計を維持した者に当たるとはいえないから、原処分は妥当であって、これを取り消すことはできず、本件再審査請求は理由がないから、これを棄却することとして、主文のとお主文のとおり裁決する。
判断理由
請求人は、保険者からの聴取に対して「約○年前から住所を別にしており」「死亡者が家を出て帰らなかった」と回答しており、Aが死亡した時点において、請求人とAの登録住所地は同一ではなく、両人が離婚した平成○年○月○日以前から、両人の住民票上の住所地は同一ではない。また、請求人は、保険者からの聴取に対し、別居後の平成○年ないし○年ごろまでは、年に○ないし○回、電話にて定期的に音信があり、経済的援助も○か月に○度○ないし○万円を死亡者の母親を通じて受けていた、それ以降は不定期に電話による音信と、死亡者本人と病院で待ち合わせし直接お金を受け取っていたが、僅かなため金額は覚えていない旨回答しており、Aの死亡についても、死亡者の妹から電話で連絡をうけて知ったのであり、葬儀にも参列せず、喪主も知らない旨回答している。これらから、請求人は、Aの死亡当時、Aからの経済的な援助によって生活していると見ることはできないといわざるをえない。
請求人は、上記1の(6)で認定したとおり、入居者・同居人氏名の欄に、請求人とAの氏名が記載された○○市○町のマンションの賃貸契約書を提出しているのであるが、請求人が、平成○年○月○日に同所に転居し、同○年○月○日に○県○○市○○の子の住居に転出したことは、住民票により確認できるところ、Aが○○市○町のマンションに居住したことを証する住民票等の客観的な資料はなく、他にもAが○○市○町のマンションで請求人と同居したことを認める資料はない。そうすると、Aと請求人との間に夫婦の共同生活と認められる事実関係があったとまでは認めるには足りないというほかはなく、Aと請求人との間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること及び夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在することを認めるに足りないというべきである。
請求人は、上記1の(6)で認定したとおり、入居者・同居人氏名の欄に、請求人とAの氏名が記載された○○市○町のマンションの賃貸契約書を提出しているのであるが、請求人が、平成○年○月○日に同所に転居し、同○年○月○日に○県○○市○○の子の住居に転出したことは、住民票により確認できるところ、Aが○○市○町のマンションに居住したことを証する住民票等の客観的な資料はなく、他にもAが○○市○町のマンションで請求人と同居したことを認める資料はない。そうすると、Aと請求人との間に夫婦の共同生活と認められる事実関係があったとまでは認めるには足りないというほかはなく、Aと請求人との間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること及び夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在することを認めるに足りないというべきである。
本案件のポイント
本案件は、離婚後の内縁関係で、別居・別住所という事例になります。なお、離婚後の内縁関係の取扱に関しては、下記の通り、
「離婚の届出がなされ、戸籍簿上も離婚の処理がなされているにもかかわらず、その後も事実上婚姻関係と同様の事情にある者の取扱いについては、その者の状態が事実婚認定の要件に該当すれば、これを事実婚関係にある者として認定するものとされています。」≪生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて(平成23年3月23日年発0323第1号)厚生労働省年金局長通知≫
また、別居・別住所の事例について、
生計維持関係が認められるには、
次のウの(イ)のに該当する必要があります。
ア 住民票上同一世帯に属しているとき
イ 住民票上世帯を異にしているが、住所が住民票上同一であるとき
ウ 住所が住民票上異なっているが、次のいずれかに該当するとき
(ア) 現に起居を共にし、かつ、消費生活上の家計を一つにしていると認められるとき
(イ) 単身赴任、就学又は病気療養等の止むを得ない事情により住所が住民票上異なっている
が、次のような事実が認められ、その事情が消滅したときは、起居を共にし、消費生活上の家計を一つにすると認められるとき
(a) 生活費、療養費等の経済的な援助が行われていること
(a) 生活費、療養費等の経済的な援助が行われていること
(b) 定期的に音信、訪問が行われていること
本事例は、離婚後に別居・別住所という状況で、
これは、はたから見ると一般的な離婚と同様の状況であるため、
離婚後も夫婦関係にあったというにはハードルが高いケースになります。
このようなケースの場合、葬儀の喪主を務めたことは離婚後も内縁関係であったことを証する強力な証明資料になるのですが、
そもそも故人が亡くなった事は、故人の妹から知らされて知ったという状況である上、葬儀に参列せず、誰が喪主をしたのかは不明。
経済的援助や音信訪問は有ったと回答しているが、経済的援助に関しては、故人の母親を通じてであったり、現金手渡し。
そして、金額は僅かであったため覚えていない。
また、賃貸契約書を証明資料として提出しているが、これは、婚姻期間中のものであって、死亡時に同居していたことを証明する資料ではない。
以上のことから、死亡時において両者が夫婦の共同生活と認められる事実関係にあったとまでは認められないという結論になりました。
これは、はたから見ると一般的な離婚と同様の状況であるため、
離婚後も夫婦関係にあったというにはハードルが高いケースになります。
このようなケースの場合、葬儀の喪主を務めたことは離婚後も内縁関係であったことを証する強力な証明資料になるのですが、
そもそも故人が亡くなった事は、故人の妹から知らされて知ったという状況である上、葬儀に参列せず、誰が喪主をしたのかは不明。
経済的援助や音信訪問は有ったと回答しているが、経済的援助に関しては、故人の母親を通じてであったり、現金手渡し。
そして、金額は僅かであったため覚えていない。
また、賃貸契約書を証明資料として提出しているが、これは、婚姻期間中のものであって、死亡時に同居していたことを証明する資料ではない。
以上のことから、死亡時において両者が夫婦の共同生活と認められる事実関係にあったとまでは認められないという結論になりました。
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2023年12月 8日 11:56