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重婚的内縁関係にある内縁の妻が遺族年金を請求したが棄却された事例①

公開日: 2015年8月18日 更新日:2018年12月13日

■平成20年(厚) 第50号
 
【主文】
本件再審査請求を棄却する。
 
【本件の問題点について検討を加える】
 

・請求人=内縁の妻
・利害関係人=戸籍上の妻の子
・A=戸籍上の妻
 
(1)婚姻制度は一つの社会制度であり、単なる男女関係や同棲関係を意味するものでないことは、明らかであり、法第3条第2項は、このような社会制度としての婚姻関係について規定した民法の婚姻法秩序を前提として、「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者」を厚生年金保険制度の中で、婚姻の届出をした者と同様に取り扱おうとする趣旨に出たものである。
 
単なる男女関係や同棲関係にある者の一方が先に死亡した場合に、死亡した者によって生活が相当程度支えられていた他方の老後生活を、厚生年金保険制度によって支えようとする趣旨に出たものではない。
 
また戸籍上の婚姻関係を破綻させた有責者であっても、遺族厚生年金における保護の必要性は変わらず、そうすると有責配偶者と事実上婚姻関係と同様な事情にある者について、もう一方の戸籍上の婚姻関係が形骸化し、かつ、その状態が固定化していると認められるときには、遺族厚生年金の受給が認められる場合があると解される。
 
(2)請求人が亡被保険者死亡当時、同人と事実上婚姻関係と同様な事情にあったことは疑いのないところである。
 
一方戸籍上の妻であるAとは、請求人が亡被保険者と同居したとされる昭和○年からしても○○年にわたる間、夫婦としての直接音信があったとすることを証するものは特になく、その面では、婚姻関係の形骸化が窺われる。
 
(3)しかしながら、亡被保険者は、○○共済会からの年金で同人と請求人の生計を賄い、一方、Aの生計費を賄うために、老齢年金が振り込まれる口座の管理を、Aの面倒をみていると認められる利害関係人に委ねていたことが窺われる。
 
また、老齢年金の加給年金の支給対象者はAとなっており、税制上の扶養控除対象者も同人であった。
 
もっとも後者については、はなはだ遺憾なことであるが、届出の対象者は名目だけで、実際、その恩恵を受けている者は別人であるということが稀ではない。前者についても、何らかの理由で老齢年金の振込口座の管理が利害関係人に移動しているものの、それは亡被保険者の意向に反したものであって、亡被保険者の老齢年金によって、Aの生計が支えられているわけではないとみる可能性がまったくないわけではない。
 
とは言え、本件の場合、亡被保険者がAとの離婚の意思を明らかに示したとか、絶縁を宣言するなどの事実が存在したとは認められないので、そのように解することは相当の無理があると言わざるを得ない。
 
また、このことから、亡被保険者がAとの離婚を前提に老齢年金の管理を利害関係人に委ねたとみることもできない。
 
(4)そうすると、亡被保険者とAとの間には、亡被保険者死亡の当時においても経済的依存関係が反復して存在していたと言わざるを得ず、両者の婚姻関係が形骸化していたとも言えないので、請求人に対し遺族厚生年金を支給しないこととした原処分は妥当であって、これを取り消すことはできない。
 
以上の理由により、主文のとおり裁決する。

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