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立証材料が乏しく、内縁の妻の遺族年金の請求が棄却された事例

公開日: 2015年8月10日 更新日:2018年12月13日

■平成22年(厚) 第212号
 
【主文】
本件再審査請求を棄却する。
 
上記2に認定した事実からは、請求人が亡Aによって生計を維持した婚姻はしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者に当たるといえる具体的な事実関係を認めることはできない。

そこで、上記3に認定した請求人自身の供述を内容とする証拠関係から、あるいは、その証拠関係に上記2の事実関係を併せて検討することにより、請求人が亡Aによって生計を維持した婚姻はしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者に当たるといえるかどうかについて検討することとする。
 
(1)請求人は、亡Aとは請求人が○○歳(昭和○年)のころから同居して生活を共にし、生活費として毎月○万円を受けていた旨を陳述している。
 
しかしながら、請求人陳述に係る上記事実を裏付ける証拠はなく、亡A及び請求人に係る住民基本台帳法上の届出にかかる住所関係を見るに、亡Aが○○市内に住居を定めたのが昭和○年○月○日であり、請求人が○○市内に住居を定めたのが同月○日であり、近接した時期に両名が○○市民となったことは認められるものの、亡A死亡時の同人の住所が同市○○○町○○○○番地○(平成○年○月○日転居)であったのに対し、請求人の住所は同市○○○○○○○○番地○○(平成○年○月○○日転居)であり、それぞれが上記住所地に転居する前の住所は、亡Aが同市○○○町上○○○○○番地の○であり、請求人は同市○○○○○○○番地の○であって、同一町(大字)内に住所を定めたことはない。
 
上記生計維持・同一証明書(2通)には、亡Aとは○○歳ころから生活を共にし、日曜日ごとに来ていた旨、請求人は子であるC、G(Cの子)及び亡Aと生計維持・生計が同一であった旨記載され、亡Aからは毎月○万円ずつ生活費を受け取っていた旨記載されているのであるが、請求人が聴取書で述べる世帯主のCによる生計費出捐の事実が欠落していること及びCを世帯主とする住民票謄本により認められるCの同居人H(同人は、Cと共に現在の住所地に転居している。)についての記載が何もないことに加え、証明者として署名捺印しているEの立場や地位(民生委員、町内会長、事業主、施設長などの第三者であることを記載する書式となっている。)の記載がなく、「亡Aが日曜日ごとに請求人宅に来ていた」としても、一般的にはそれだけで生活を共にしていたという評価は困難であるのに、「○○歳ころから生活を共にしていた」という事実を証明する内容になっているのであって、この点を含めて、一般的には第三者による証明の対象となることが困難である事実をも一括して証明する内容であって、これらの記載をたやすく信用することはできない。
 
そして、請求人はCは亡Aの子である旨陳述しているが、その事実を証明する公的書類はもとより客観性のある裏付け資料は何もないのであって、上記陳述に係る事実を真実であるとは認めがたい。
 
(2)そして、亡A及び請求人は、地区の寄り合いに一緒に参加したことはなく、請求人の健康保険上の資格は子であるCの被扶養者とされており、これまで亡Aの健康保険の被扶養者となったことはなく、亡Aの所得税法上の控除対象配偶者又は被扶養者となったこともないことが認められるのである。
 
(3)いわゆる内縁関係といえるためには、戸籍上の届出がない点において法律上の婚姻関係とは異なるものの、双方当事者の協力扶助関係を基盤とし、相互の信頼と愛情とに支えられた精神的、肉体的結合を伴う共同生活の実態が継続することが必要と解すべきところ、上記に検討した亡Aと請求人との関係をもって、いわゆる内縁関係と見ることはできないのであって、請求人が亡Aと婚姻はしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者に当たるということはできず、また、請求人が亡Aによって生計を維持した者に当たるというには足りないものというべきである。
 
(4)以上によれば、前記第2の2記載の理由により請求人に対し遺族厚生年金を支給しないこととした原処分は妥当であり、それを取り消すことはできない。
 
以上の理由により、主文のとおり裁決する。

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