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離婚後

離婚した妻の遺族年金請求ポイント

はじめに

遺族年金は、原則として夫と離婚したらもらえませんが、要件を満たせばもらえるケースもあります。

通常、夫と離婚した場合、配偶者ではなくなるので、遺族年金の受給資格は無くなります。いくら婚姻期間が30年あり、離婚した1年後に夫が亡くなったとしても、元妻では遺族年金はもらえません。

ただし、何か事情があって形式上、離婚しただけであって、離婚後も実質的に夫婦の共同生活が継続しており、いわゆる内縁関係(事実上婚姻関係と同様の状況)にある場合は、元妻でも遺族年金を受給できる可能性があります。

ここでは、離婚した元奥さんが遺族年金を受給するためのポイントについて見ていきたいと思います。

離婚後の内縁関係の取り扱い

離婚の届出がなされ、戸籍簿上も離婚の処理がなされているにもかかわらず、その後も事実上婚姻関係と同様の事情にある者の取扱いについては、その者の状態が事実婚認定の要件に該当すれば、これを事実婚関係にある者として認定するものとされています。
≪生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて(平成23年3月23日年発0323第1号)厚生労働省年金局長通知≫

そして、事実婚関係の認定要件としては、以下の通り定められています。

【事実婚認定の要件】

  • 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとする
  • 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること

つまり、離婚後も引き続き、夫婦としての共同生活が継続していれば、事実上婚姻関係と同様の事情にある者に該当すると考えられます。

離婚したにもかかわらず、夫婦関係が継続しているということは、何かしらの事情があって形式上、離婚しただけでということが想定されます。このようなケースの代表的なケースとして、借金が離婚事由となった離婚のケースが挙げられます。借金の取り立てが厳しく、家族に危害が加えられる恐れがあり、家族を守るために離婚したというようなケースです。このようなケースについては

「民法の婚姻法秩序を前提としつつも事実上の婚姻関係を法律上の婚姻関係と同様に扱う法における遺族年金の支給に関しては、何らかの理由で離婚を偽装する必要に迫られて届出をしたもので、当事者間に離婚の届出をする意思の一致はあるが婚姻関係を実質的に解消する意思はなく、実質的な夫婦の共同生活は依然として継続している場合には、届け出にもかかわらず婚姻関係の継続を肯定することが公序良俗に反し、あるいは保険給付に関する法秩序の著しい混乱を招くと認められるような特段の事情がない限り、例外的に、離婚の届出の前後を通じて婚姻関係は継続しているものと認めるべきである。」
と、離婚後も事実上婚姻関係と同様の者に該当し、遺族年金の受給が認められると判断される場合があります。

一方、借金の事実があったとしても家族に危害を与えるとまでいえず、離婚を偽装する必要まで認められなかったり、生計同一関係にあるとまで認定されないようなケースは、事実上婚姻関係と同様の者と認められず、遺族年金の受給が認められなかった事例もあります。

【社会保険審査会裁決より抜粋】
「請求人(元妻)は、亡夫とは借財の取立の追及から逃げるために形式的に離婚はしたが、毎週、請求人が亡夫方に行き、一緒に食事をしたり、いろいろな話をしたりしていたなどと主張しているが、その程度では社会通念上婚姻共同体としての生活であるとは認められず、また、その事実を裏付けるに足るだけの具体的な資料等の提出もないから、請求人の主張をそのまま採用することはできないといわざるを得ない。

・・・・請求人と亡夫との間には、離婚後もある程度の経済的な依存ないし援助関係が存続していた可能性の存することは否定できないが、離婚後の夫婦間において離婚給付の一環として、ある程度の経済的ないしは援助関係が存在することがあり得ないことではないというべきであるから、この点も両名が事実上婚姻関係と同様の事情にあったことを直ちに背認させるものとはいい難い。

動画で解説

 



専門家からのアドバイス

原則として、離婚したら遺族年金はもらえません。

ただし、離婚後も、継続して夫婦同然の生活をし、事実上の婚姻関係(内縁関係)であったと認められれば遺族年金を受給できる可能性があります。

一般的な離婚のように、「離婚後は別々の家に住み、家計も別」という元妻は遺族年金を受給することは難しいのでご注意ください。



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