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豆知識

経済的援助

遺族年金における経済的援助

遺族年金の請求をする場合、経済的援助の要件が問題となってくるケースとしては、別居していた妻又は内縁関係で別居していた方が該当するかと考えられます。

やむを得ない事情で、別居している方が、遺族年金を受給するためには、生計同一関係が認定される必要があります。

そして、生計同一関係が認められるには、
夫から妻へ「生活費、療養費等の経済的な援助が行われていること」が条件となります。
※生計同一関係の認定基準は以下の通り。



生計同一要件

単身赴任、就学又は病気療養等のやむを得ない事情により住所が住民票上異なっているが、次のような事実が認められ、その事情が消滅したときは、起居を共にし、消費生活上の家計を一つにすると認められるとき

(ア) 生活費、療養費等の経済的な援助が行われていること
(イ) 定期的に音信、訪問が行われていること
 
 

解説

経済的援助で代表的な例として、
 
夫から妻へ、
「金銭の仕送り」があったかどうかということが真っ先に挙げられることでしょう。
 
たとえば、

「毎月、夫から生活費として5万円、口座振込でもらっていた。」
 
といったことが、該当します。
 
ただし、この金銭的な援助が現金手渡しで行われていると、非常にややこしいことになります。
 
口座振込なら、通帳に履歴が残りますが、現金手渡しだと証拠が残りませんので証明のしようがありません。
 
なお、金銭の仕送りについては、社会保険審査会の裁決で、下記のように経済的援助があったと認定されなかったことがあるので注意が必要です。
 
①夫の経済的援助(仕送り)が無ければ妻の生活は成り立たないというような状況でなければならず、たとえ仕送りがあったとしても、その金額が妻の生活水準を確保できるとまでいえない金額である場合は、経済的援助があったと認定されないことがあります。
 
②また、夫から妻へ経済的援助(仕送り)があったとしても、離婚給付、養育費、手切れ金といった性格を持ち婚姻費用の分担の趣旨に出たものでないような場合は、経済的援助があったと認められないということになります。
 

経済的援助が認められなかったケース(社会保険審査会の裁決事例より)

・断片的送金があったとしても、それは遺棄した家族に対する形ばかりの慰謝料ないし事実上の離婚給付に相当する送金の域を出るものとは認められない。
 
経済的援助を裏付ける客観的な資料の提出はない。
 
・夫から妻への1,000万円の交付は婚姻関係を事実上解消したことに伴う財産分与の意味をもつものとみるのが相当である。
 
・婚姻関係が形骸化、固定化していたことを鑑みれば、夫が平成○○年まで続けた義務的送金は、子供の養育費のほかは、これを請求人に対する離婚給付と、また同年に長男に託した500万円は、請求人との関わりを最終的に清算する手切れ金の性格をもつものと認定するのが相当である。
 
夫は生活保護費を受給していたことや病気がちであったこと等からして、離婚した妻に恒常的に生活費相当額を援助していたと認定することは困難である。
 
婚姻関係が全くその実態を失った状態のもとでの義務的送金は、慰謝料ないし財産分与の性格をもつ離婚給付と認定するのが相当である。
 
・夫は月額22万円程度の給与収入があったのであり、月額5千円~1万円という額は、生活費の援助とはみなせないほど低額である。
 
・請求人は(別居妻)は、同人が夫とともに会社の負債の返済に尽力したことをもって両者に生計維持関係があったと申し立てているが、上記夫妻に関しては、夫と妻が連帯保証をしている関係にあると認められ、これは夫婦関係が破たんした後も残るものであることから、両者が力を合わせて負債の削減に努めたとしても、それのみで生計維持関係が認められるものではない。
 
・妻と離れて暮らす未成年の子に夫が経済的援助をしたとしても、それをもって妻に経済的な援助をしたとみることはできない。
 
 

最後に

経済的援助が否認されるケースは、下記のようなケースが多いです。
 
・経済的援助があったことを立証する資料が提出されていない。
 
・援助があったことで妻の生活が成り立っていたとまでいえない。
 
・そもそも、夫は仕送りできるような経済状態ではない。
 
・援助の趣旨は、離婚給付や養育費の意味合いが強い
 
別居していた妻、住居は別だった事実婚(内縁関係)の妻が、遺族年金を請求する場合は、夫の援助(婚姻費用の分担の趣旨であるもの)がなければ、私の生活は成り立たなかったということを、できれば申立書の記入のみならず立証資料を揃えて請求するようにしましょう。

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